★満月樹海ウォーク(担当:
ダンゴ)
先月は昼の樹海へ、そして今回は夜の樹海へ。2ヶ月に渡って樹海の2つの顔を見れるなんてみんなが待ちに待っていたプログラムだ。しかし、残念ながら天気は雨。本当に今年は雨がよく降る。そこで、急遽プログラムを変更し富士風穴に入ることになった。発表と同時に歓声が。行ってみたいと思っている人が多かったらしい。満月が見れないも残念だけど、これはうれしい誤算だ。この富士風穴には1年中氷が張っている。神秘の世界へいざ出発だ。
現地に着くと一人淋しく
ダンゴが立っていた。今回の講師だ。
ダンゴは藪にらみ開拓団というホールアースのキャンプ地開拓の窓口もしている。そこでよく顔を合わしているためか、
まんまが四季コースの講座生だと知らなかったらしい。おいおい、4月に一緒に火付けをやったじゃん。
雨が降っているとはいえ、空は微妙に明るい。全員ライトを消し、沈黙。そして、
ダンゴが「自然界にとって夜は何をする時だと思いますか?」と問い掛ける。質問の意図がよくわからなかったが、自然の中に解け込みでみたらと言っている様に思えた。ここで、ライトを消したまま、1人づつ古道を200mほど歩いてみる。微かに地面が見えるくらいだ。先月の真っ暗な洞窟は楽しかったが、1人のせいか、ちょっと怖い。地面を見ても道はわからないので、木の枝をみる。古道に沿って天空にも道ができている。雨が降っていても、多少空は明るい。太陽の偉大さを感じる。よく見えない分、他の感覚が研ぎ澄まされていく。地面の感触、音、匂い。それらに敏感に反応する。とくに地面の感触が変化すると不安になる。柔らかいと道を外れている可能性があるのだ。途中、何度か道を外れたようだが、無事ゴールにたどり着いた。このナイトウォークで思ったことは、「不自然さは怖い」ということだ。時より、誰かがライトを付けたり、笑い声が聞こえたりと樹海の夜には似合わない。この不自然さがとても怖い。もし、近くに動物がいたのならびっくりさせてしまっただろう。ちょっと人間のエゴを感じた。今回のプログラムでは、フラッシュ撮影が禁止された。その意図がわかった気がする。先月の洞窟といい、フラッシュを焚きまくったことを反省。
全員集合した後は、樹海で一人寝る。全員にマットが配布され、それぞれ1分間思い思いの方向へ歩き、マット敷き10分間独りになる。道から外れると、地面はごつごつしていて、本当に土壌が薄い。寝る場所を探すだけでも大変だ。どうにか木の根元に平らな場所を見つけ出し、横になる。雨音しか聞こえない。目を閉じてみる。このまま眠ってしまったら土になってしまうような気さえした。なんとなく淋しくなり、近くの木に触れてみる。あったかい。木のぬくもりがとても心を落ち着かせてくれた。しかし、後でライトを照らしてみたら、ムカデがへばりついていた。よかった刺されなくて。10分間は人によって短く感じたり、長く感じたようだ。樹海は人によってやさしくもあり、厳しくもあるようだ。
いよいよ富士風穴へ潜入する。ここは昭和天皇も訪問されたこともある洞窟だ。この洞窟の特徴はなんといっても1年中氷が張っていることだ。洞窟の気温は地上に比べ3ヶ月遅れる。よって、今はまさに夏まっさかりだ。氷は少しずつ溶けているようで、水が奥に向かって流れていた。洞窟の真冬はG.W.くらいだ。そのころには、氷に覆い尽くされているらしい。また、行ってみたいと思う。洞窟の入り口には3m程のハシゴがある。入り口から数m進むだけで、氷が張っている。先月潜入した洞窟は地下70mも下っているのに、氷は張っていない。なんとも不思議だ。他の洞窟と何が違うのだろうか?水が天井から多く染み出ていることと、洞窟の形状に秘密があるらしい。ここの洞窟は細くなったり太くなったりする。空気が流れるとき、洞窟の形状により圧縮や膨張された結果、温度が下がるらしい。まさに神秘の世界だ。この洞窟の一番奥は大きなホールとなっている。お決まりだが、全員のライトを消してみる。2週間振りの闇だ。水滴の自由気ままな演奏が、まるで、オルゴールのようだった。
しばらくの沈黙から、
ダンゴが切り出す。満月の代りに氷の塊を手に持ち、ライトを照らした。氷は光り輝き、その光は天井を照らしていた。まるで、闇の世界に光と氷の妖精が誕生したかのようだった。氷の結晶の大きさは大小様々だ。水滴が序々に固まった結果だろう。光の屈折がまるで宝石のように美しい。ちょっとだけ、雨が降って良かったと思ってしまった。
地面は一面氷に覆われ、まるでスケートリンクのよだ。しかも、深さ12mだ。底の氷は1100年前の氷だろうか?また、真冬に会いに来るよと勝手な約束をして洞窟を後にした。本校につくとすでに時計は0時を指していた。疲れているけど、ちょっとだけ大人の時間を楽しんだ後消灯した。