自然観察指導員になっちゃった!!
緊張そして門出の3日目

★3日目:個別野外実習「テーマ探しとプログラム作り」
観察場所
 朝、6時に起床にテーマ探しに出かける。外には何人かの人がすでにテーマ探しを行っていた。みんな良く眠れたのだろうか?私が考えたテーマはこれだ。
・形容詞をつけよう
 (何も無いようなところでも、観るといろいろなものが見つかる。)
 なんの工夫も無いが、勢いと意外性でごまかそうと思う。まずは、場所探しだ。なるべく、何も無いようで、あっと思う発見がある場所がよい。ここで、ちょっと余計なことも考えてしまう。何事も、一番最初と最後はいやなものだ。あまり近すぎても、遠すぎても最後になる可能性がある。ということで、中間くらいの場所を探す。もうちょっと、自信を持って行ってもいいかなと思ったが、結局良い場所が見つかった、林の中に通っている道(写真参照)だ。ここで、何が見えますか?と聞かれたら、木、道、側溝というようななんの変哲もない解答が返ってくるだろう。しかし、問題はここで、どんな形容詞を付けられるかだ。
 形容する言葉はなんでも良い、色、模様、大きさ、形、数、雰囲気等いろいろ考えられる。探してみるとこんな場所でも制限なくでてくる。ふと上を見上げると木にキノコが生えていた。あっあんなところにキノコが。そこで、はっと思う。形容に制限を加えると逆に見えてくるものがあるのではないかと。そこで、「あいうえお」から始まる言葉にしてもらうことにする。キノコ→”あっあんなところにキノコが”、”あそこにキノコが”とかで言ってもらうのだ。自分自信で、「あいうえお」から始まるものを探してみる。「赤い葉っぱ」、「意外なマンホール」、「薄緑の葉」、「枝が少ない木」、「恐ろしい台風の後(木が折れていた)」。ちょっと制限がきついがなんとかなるだろう。ということで、かなり自信が持てるテーマを選定することができた。早々とホテルに戻っていった。

★3日目:野外指導実習「実際に自然観察会をしてみよう」
 いよいよ全員集合。みんなの関心はどのような班になるかだ。仲の良い人同士にならないように、適当に列を作ってから、班分けを行った。私の班の講師はおなじみの田畑さんだった。班のメンバーと順序は「臼木さん、田中さん、山梨、小野さん、松井さん」となった。順序は遠いところから、近い場所に移動することとなった。思惑通り真中の三番目となった。田畑さんから説明があった。観察会を開く人には、自然観察指導員の腕章を手渡される。本番さながらだ。それと、観察会の設定をしてくださいとのことだ。たとえば、子供の観察会であれば、参加者は子供になりきらなくてはならない。良い反応がないと盛り上がらない。開催者も大変だが、参加者も大変だ。

 @臼木さん「風景を細かく観察。(頭の中にスケッチする。)設定:中高年」
風景を細かく観察  「おはようございます。自然観察指導員の臼木です。」という挨拶から始まる。いよいよ自然観察指導員になるのだ。観光地ですぐに写真に撮って安心していませんかという前振りから、じっくり風景を焼きつけて心に残すゲームを行った。2人の人が、1分間じっと風景を目に焼き付ける。他の2人はこの二人に質問する内容を考える。1分後風景を目に焼きつけた人は振り返って、質問をする二人の方を向く。まずは私から質問だ。なるべく、あいまいな質問をすることにした。
「どんな木がありましたか?」あいまいすぎるだろうか?「赤い色の木、樫の木、すこし葉が残っているコナラ」
「何色が見えましたか」「橙、黄色、緑、深緑、黒、白。。。」
「どんな川でした」「細長く、幅は1mくらい」
「木の高さはどのくらい?」「高いのは15mくらい。一番低いのは30cmくらい」
 質問に答える方より、質問するほうが大変だ。本人は3分の予定だったようだが、実際は7分だった。本人の感想は、専門的な分野がないので、芸がなかったが今後は自分の得意な分野を作っていきたいということだった。田畑さんは、「芸が無いことないですよ。これはどこでもだれでも使えて、導入としては非常にいいテーマだと思います。」とのお褒めの言葉でした。

 A田中さん「落ち葉のビンゴゲーム。設定:中学生」
落ち葉のビンゴゲーム  たしか、彼女は今回の最年少だったと思う。年上を相手に緊張しているようだったが、テーマはアイデア賞モノだった。9マスの中に「細長い葉」、「丸い葉」、「葉脈対」とか葉の特徴が書いてある。この特徴に合った葉を集めてビンゴを完成させるゲームだ。マスには空白もあり、自分で葉の特徴も書かなくてはならない。ビンゴが完成したら、拾った落ち葉をお互いのチームに見せ判定をしてもらう。ゲームとなるとついついみんな一生懸命になる。みんなの感想も、ゲーム性と専門性を兼ね備えているということで、とても良かった。また話しながらやった方がたのしいので、二人組みにした点も大変すばらしかった。

 B山梨「形容詞をつけよう。設定:初めての観察会」
あっあんなところにキノコが  自分の出番となった。腕章を頂き、いよいよ観察会開催デビューだ。お得意のハッタリでテンポ良く話し進める。設定は初めての観察会で、観察会ってなんだろうということから切り開く。「みなさん初めての観察会ということですが、観察会というと、虫眼鏡や、双眼鏡などの道具がないとできないというわけではなく、周りに注意を配るだけでも観察会になるということを体験していただきたいと思います。」「何も無いような場所ですが何が見えます?」「倒れた木」、「杉の木」、「笹」と数点挙がった。こちらの思惑どおりの展開だ。「やはり、あまり見えるものがあまりありませんよね。でも、何とかのなになにというように形容詞を付けるだけでいろいろなモノが観えてくるんですよ。」「ということで、皆さんに形容詞をつけていろいろな表現をしていただこうと思っています。ちょっと意地悪なんですが、より観察しやすいように、”あ、い、う、え、お”から始まる言葉にしてください。」とここで、さっそく今朝見つけたキノコを例にあげる。「例えば、”あんなところにキノコが”これは形容詞ではないですけどこんなのでもまったく問題ないですよ。」といいつつキノコを指差す。数分探してもらったみなさんの解答は次の通りだ。「いろいろな木、うまそうな椎茸、絵になる原っぱ、青い実、赤茶色の木肌、岩のような根っこ、おもちゃになりそうな木、うさぎの住んでいそうな林、色鉛筆では表現しきれない緑」と私が考えもしなかった表現が多々でてきた。このとき、自分一人でおこなうのではなく、仲間と観察会を開催するのはやはり楽しいものだと思った。終わってみると、5分の予定が8分かかっていた。参加者の方にはプロのようでしたととのコメントもあり、わたしのはったり人生炸裂といったところだ。内心かなりびびっていたのですが。田畑さんからも「形容詞をつけることによって、自分の思いが入り自然に愛着をわかせる手段としてすばらしいと思います。」という、ありがたいお言葉を頂きました。

 C小野さん「お母さんを探そう。設定:小学生低学年」
お母さん探し  木の葉を渡され、この葉の木を探すゲームだ。葉を子供、木をお母さんにたとえて、母親探しをするのだ。それにしても、小学生になりきるのって大変そうだ。「私のことを森のくまさんと呼んでください。」から切り出した。小学生の設定なので、とっつきやすくするためだ。なかなか考えている。また、危険な山うるしを先に紹介しているのもすばらしい。みんな余裕が出てきたのか、突然走り出す人もいるし、木の影に隠れたり、小学校低学年になりきる。指導員としては走って追いかけなくてはならないので大変だ。ただちょっと困ったのは杉の葉を渡されたのだが、お母さんがいっぱいいるのだ。(笑)とりあえず、一番大きそうな杉を選んだ。テーマや設定は大変よかったし、子供の行動を予測するのがむずかしく、子供相手に観察会を行うときの注意点もわかり大変よかったと思う。

 D松井さん「落ち葉で絵を書こう。設定:小学生低学年」
落ち葉で絵を書こう  またまた、小学生低学年の設定だ。先ほど走り回っていた松井さんなのに、チャレンジャーだ。テーマは、落ち葉、土、身の回りのものを使って絵を書く。そういえば、小学生の時に授業でやった覚えがある。できた絵は”うさぎ、ヨット、パパの顔、顔”だ。ここから、分解された葉脈のみの葉をみて誰が食べたのかなとの質問を参加者に質問した。ちょっと小学生低学年にはむずかしいテーマもしれない。絵を書き興味をひかせ、そこから葉の分解につながるストーリーは良かったと思う。ただし、葉の種類が多いところでは、子供の興味が葉の種類に行ってしまうので、なるべく、葉の種類が少ない場所を選ぶのがポイントのようだ。また、応用も多い、海岸なら貝殻、川では石とかでもできる。

 Eまとめ
 みなさん大変よかったですよ。この5人が集まれば、観察会半日できます。と自信がつくコメントを田畑さんから頂きました。他の班も終了して戻ってきた。みんな腕には自然観察指導員の腕章をつけている。腕章をつけているだけで、凛々しく見えるから不思議だ。ちょっと不安げだった今朝に比べるとみんな自信に満ち溢れ、笑顔になっている。昨日寝れなかったりしたが、この野外指導実習が三日間の中で一番楽しかった。

★三日間通して
 生真面目な講習会を想像していたが、大変楽しい3日間となった。できることなら、毎年参加してみたいものだ。三日目の野外指導実習が終了した後は、寂しささえ感じた。明日も観察会やりたいようと思っているのは私一人だけではなかったと思う。しかし、これで終了ではなく、これからが始まりなのだ。講師、スタッフのみなさんありがとうございました。第326回自然観察指導員講習会の講習生のみなさん!きっと今ごろは楽しい観察会を実施していることでしょうね。

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