自然観察指導員になっちゃった!!
充実の2日目

★2日目:野外実習「地域の自然を理解しよう」
地域の自然を理解しようということで、3つの班に分かれて自然観察会を行う。地質・動物・植物の3つのテーマについて1時間づつ観察会を行う。あいにくの天気だったが、とても楽しい観察会となった。意外といったら失礼かもしれないが、地質が一番人気だったと思う。

@地質/大木さん
スケッチ  大木さんは千葉県立中央博物館山の博物館で仕事をしている地質の専門家だ。まずは昭和の森の位置確認から始まる。昭和の森は千葉県の真中に位置する。展望台に集合したのだが、天気が良ければ九十九里浜を眺めることができるらしい。ここでもお決まりのスケッチを3分間行った。その後、下に下りながら地質観察を行った。五感を使う自然観察は歩く感覚でも体験できる。地面は濡れており滑りやすい。地面は赤い。火山灰だ。こうゆう場所でやる大木さんの得意技は泥ダンゴだ。そういえば、小学生のころハマッタ覚えがある。きっといまやってもハマルだろう。泥ダンゴのホームページまであるらしい。
地質観察場所
 歩いていると簡単に貝の化石を見つけることができる。昔、ここは海だったようだ。周りの壁を触ってみるととても柔らかい。触った感じ砂のようだった。どのような成分かはわからないが、見るだけでなく触ってみるだけでも多くの情報を得ることができる。ある場所では硬い層と柔らかい層が段々になっている。砂と火山灰が交互に層をなしているようだ。また、砂を手にとって、明るいところに手をかざすと白くキラキラ小さい鉱物があるのがわかる。雲母岩だ。雲母は化粧品の原料となるらしい。フカフカした層もある。手に取った後ざらざら感がある。これは火山灰でガラス成分が多く含まれるためざらざらしている。クレンザーや歯磨き粉の原料に使われたらしい。
A動物/前田さん
水生昆虫の観察場所  前田さんは千葉県自然観察指導員協議会の方で昭和の森で昆虫の調査を行っている。今回は水生昆虫の観察会を開いてくれた。現在、地球上の生物種は動物が100万種以上、植物では40万種以上が記載されている。しかし、推定では2000万種とも3000万種いるのではと言われている。記載された動物種の80%は昆虫類だ。この昭和の森を調べていてもしばしば昆虫図鑑に載っていないムシに出会うことがあるらしい。左の写真が観察を行った場所だ。ホタル自然保護区域と書かれた看板があるので、きっとホタルが生息しているのだろうが、流れる水もちょろちょろとしており、一見何もいないように見える。網で、小川の底をすくってみる。落ち葉等も一緒にすくい、タッパーの中に入れて落ち葉をめくると、出てくる出てくる、ヤゴ、ザリガニ、センブリ、いろいろな昆虫(名前を聞いたけど忘れてしまった)、魚まで出てきた。こうなるとみんな夢中だ。みんなもくもくと昆虫探しを始める。ヤゴは良く見つかった。大体、ヤゴは3年〜7年で成虫になるらしい。特に何年と決まっていないらしい。ヤゴを手にとると、体温で暖められ、段々元気になってくる。春が来たと一瞬勘違いしたようだ。網を片手に長靴を履いている自分の姿が想像できた1時間でした。

B植物/福田さん
水生昆虫の観察場所  福田さんは千葉県自然観察指導員協議会の方で昭和の森で昆虫の調査を行っている。一番最初にケンポナシを紹介してくれた。ケンポナシを味わってみる。丸い実はほとんど種で、実の根もとの枝の部分が食べられる。味はちょっと微妙。醗酵した西洋ナシの感じがある。普通ケンポナシを見ても食べるとは思わないだろう。貴重な体験だ。
 次に案内して頂いたのはカタクリの群生の移植地だ。宅地開発のため、昭和の森の中のカタクリの群生地に調整池の設置工事が行われることになり、貴重種植物の保護のためにカタクリ他の植物の移植を行っている。作業は大変で、移植缶を差込み、約40cmの土ごと人力により運び出す。とても大変な作業だ。ところで、カタクリをご存知だろうか?現在では希少種となってしまったが、もともと片栗粉はカタクリの根のデンプンから作られていた。流通している片栗粉はジャガイモのデンプンから作られる。
 近年、「里山」と聞くことがしばしばある。里山の雑木林ではコナラ、クヌギなどが10〜20年程度の周期で伐採されてきた。木を伐採すると環境破壊をしているように思えるが、里山は人と共に生きており、適度な手入れが必要だ。木を伐採することにより、林地を明るくし、好陽性の草木類の育成を可能にする。しかし、近年、里山の手入れが行われなくなり、暗い雑木林が目立つようになった。雑木林は様々な木々が生息している。主な雑木林として、イヌシデ、クヌギ、コナラが紹介された。クヌギとコナラ似ているけど見分け方わかりますか?

★2日目:野外実習「自然観察会のテーマ探し」
@五感を使った観察会/田畑さん
木の皮の感触  20名程が一列になって見える色を順番に言っていく。一度言った色は言えない。ネタが無くなったら、ギブアップで一歩後退する。最初は余裕があるが、段々苦しくなり、”ラクダ色”(芝生のことらしい)、”パーマネントグリーン?”とか、普段使わないような表現が出てきた。今度は5班ほどに分かれて、カラー表を用いて、同じ木の緑の表現を探しあう。同じ木でも、光の加減や、葉の位置によって色が違う。どこの場所を選ぶかも個性だ。うちの班が選んだのは「オイタケイロ」:竹が老いた色ということらしい。他の班では「オリーブ」、「ミル色」、「あおしろつるばみ(青白橡)」等の色を選んだ。色の表現だけでも星の数ほどある。
 次は、感触観察だ。ビニールで隠した切り株や、袋に入れた木の皮を手で触って、同じ木を探すゲームだ。木によって、木の皮の感触は違う。でこぼこしている皮、ざらざらしている皮。何度も触りながら確認していく。ざらざらしているところと、平らなところがある。どうも桜のようだ。このように感覚を制限することにより、よりよく観ることができるl。言われて気がついたのだが、同じ木でも、「切った幹」と「生きている幹」では触った感じ、「生きている木」の方が暖かい。また、同じ土でも木の周りは温かい。木も生きているんだなぁと実感した瞬間だった。
 最後のまとめとして、何でも使えるものは使おうというのが自然観察だ。手は温度センサーにも、湿り気センサーにもなるだと話してくれた。どうも、エンジニアはすぐに精密な測定機を用いたくなる。人の感覚とはすばらしいものだと体験できた1時間でした。

A人と自然のかかわり/伝井さん
キャンプ場のゴミ箱  伝井さんは日本自然保護協会の広報部指導員養成を担当している。伝井さんは、この講習会の進行役を担当してくれた。ちょっと頼りないところもあるけど、3日間の案内役をやり遂げてくれた。まず、講習生の調査を行った。千葉県昭和の森を中心に日本列島をイメージしながら、住んでいるところに立ってみる。即席の分布図のできあがりだ。引き続き、年齢順に並んでみる。40代が一番多く、下は二十歳から67歳の参加者があった。これは、観察会をするにあたって、参加者を観察することから始まるということえを伝えるための布石だった。
 昭和の森の中のキャンプ場に場所を移す。しゃがんで、子供の視点、猫の視点で周りを見渡す。驚くほど、視界がかわる。自然の中にもいろいろな人工物がある。大人にとっては、何気ないものでも、いろいろな視点、気持ちになって周りを見渡すと、危険、破壊、じゃまな物が多々ある。例えば、U字溝はミミズにとっては地の果てに思えるだろう。また、自然には弱いところと強いところがり、里山のように、人が手を入れたほうが場所もあれば、尾瀬のように人が入り込んだだけでも破壊されてしまう場所がある。人は自然との接し方を考えなければいけないと話してくれた。
 昭和の森に設置されているごみ箱について考えてみる。ここにごみ箱は必要か?必要だとしても、このままでいいのか考えてみる。ごみは持ちかえり、ごみ箱は無いほうが良いが、ポイステもありえるので、必要として考えてみる。
・場所がよくない、人工物はまとめたほうがよい。
・分別がきちんとされていない。ごみの種類を絵で表現するべきだ。
・底が網になっており、ごみの汁が地面に垂れ流しになっている。
人間だけの都合だけではなく、自然との関わりを考慮して考えるだけで、いろいろな改善案がでてくる。自然の中で開発を行う場合、なるべく自然へのインパクトを軽減させる必要がある。「自然観察指導員が開発に対して、自然をなるべく保護をするように意見を言う役割を担っていくことも重要ですよ」とまとめの説明があった。

B自然のしくみと生き物のくらし/大野さん
大野さんの説明  大野さんも日本自然保護協会の広報部指導員養成を担当している。子供のころ、NACS-Jの自然観察会に参加していたらしい。耳を澄ますといろいろな鳥の鳴き声が聞こえる。冬の間、「混郡」といっていろいろな鳥が集まって生活している。多いときは100羽の集団がエサを求めながら移動する。鳥の混郡となって食べ物のとなるムシを5分間探してみる。なかなか見つからない、このままでは餓死してしまう。テントウムシの集団を発見。そして、枝に刺さっている虫を発見。ムクドリが刺したのだろうか?とりあえず、餓死しなくてすんだようだ。1/3の人が1つも虫を発見できなかった。体重20gのシジュウカラは5分間に0.3匹の虫を食べる必要がある。また、子育てをするシジュウカラは子供の分を合わせて、5分間に1匹の虫を見つけないといけない。鳥はエサ探しに大忙しだ。
大野さんの説明  次に植物の観察を行う。各自、自分の気に入った落ち葉のプロッタージュをおこなう。葉の上に写し紙を置いて鉛筆等でこすると、葉の模様が紙にでてくる。葉の輪郭、細かい葉脈も浮き出てくる。プロッタージュすることによって、葉を持ちかえらなくても、家に帰って葉の種類を調べることができる。実際に図鑑の検索表を使って木の種類を調べてみる。葉にはいろいろな特徴がある、例えば単葉か複葉かとか。特徴をたどって行くと目的の植物にたどり着く。専門用語が多く、なかなかたどり着けそうにないが、ぼちぼち覚えることにしよう。
 こうして、野外実習のプログラムはすべて終了した。残る実習は明日の野外指導実習のみだ。そろそろ、受講者にプレッシャーがかかってくるのであった。

★2日目:講義「自然の観察」/田畑さん
田畑さんの講義 ・今なぜ自然観察会か
・自然保護教育と自然観察会
・自然の見方
・自然観察会の実際
・自然観察指導員として身につけるもの
 前日と同様、入浴と食事を澄ませ、18:30〜講義が始まる。まずは、おかしな自然の紹介から始まった。ととろを形どった山の木、一万羽集まる鶴。自然保護ということで、むやみやたらなことをすると不自然な現象が発生する。一万羽の鶴が集まるのは日本だけらしい。ここでは、エサは人から、豊富に与えらるし、関係者以外侵入禁止となっており、安全だ。しかも、日本人は、作られた不自然をありがたいように見物にきたり、写真を撮ったりしている。自然観察会を通して、不自然な自然と自然を見分けるようになろうというストーリーだ。
 他にも楽しいお話をいっぱいしてくれたのだが、今一つ思い出せない。。。心はすでに明日の野外指導実習に飛んでいたのであった。

★2日目:懇親会そして消灯
 明日の野外指導実習の説明を受ける。野外指導実習は講座生がテーマを絞って、ワンポイントのミニ観察会(時間5分)を開催するのだ。すでに、緊張が始まっている。明日の朝、6:30〜8:00の間に、フィールドの中で、テーマを探し、実習の計画書を元にプログラムを考えなくてはならない。野外指導実習説明会の後、部屋に戻り井戸端会議が始まる。もちろん、明日の野外指導実習の話だ。すでに、テーマが決まって余裕な人もいるし、私のように何も思い浮かばない人もいる。結局、悩んでも仕方がないので、懇親会に参加して、リラックスすることにした。しかしながら、結局飲み過ぎ、部屋に戻ったのは12時を過ぎていた。明日の不安もあったけど、もう懇親会もこれで最後かとちょっと残念な気がした。
 部屋に戻り、すぐベットの中に入ったがなかなか寝れない。結局、数時間寝て朝を迎えた。

[Pre :1日目]   [Next:3日目]   [自然観察メイン]