選科 第1回:エコツーリズム ~観光と自然文化保全~ 2日目 2004.07.3~4
オリエンテーション/実技「エコツアーの実際」/講義「エコツーリズムの意義」/交流会
朝のお散歩/講義「各地の事例発表」/昼食/ワークショップ/ふりかえり
★2日目:早朝散歩とホールアースへの道(担当:
ともねぇ)★
朝霧高原の朝はやっぱり霧に包まれていた。富士山周辺の地形は単純なため、気象現象も単純となる。駿河湾から流れてくる湿った空気が冷やされ霧となる。その霧も時間と共に晴れてきた。散歩にでかける朝7時にはすっかり晴れていた。外に出ると、ひんやりしていて、う~ん、気持ちのいい朝だ。富士山が雲に隠れて見えないのは残念だけどね。あちこちから鳥の鳴き声が聞こえてくる。なんの鳥かわからないけど、声を聞く限り数十種類はいるようだ。ここはバードウォッチングもできそうだ。ちょっと下るとテントが多数張ってある広場に沢山の人と犬が。何かのイベントだろうか?フリスピーを犬が追いかけまわし、ナイスキャッチ。
広場の脇の木にはクモの集合住宅があった。いったい何匹いるのだろうか?というよりどうやってここに集まったのだろうか?ひょっとして、みんな兄弟とか?これだけ多いとエサとなる虫も相当いなくてはならないのでは?でも、残念なことにクモの巣は朝霧で水浸しだった。これじゃ、エサもかからないよね。近づいて見てみると水滴が宝石のように輝いていた。それにしても、不規則なクモの巣の張り方だ。どこから虫がきても捕まえられそうだ。
その後は
ともねぇに言われるがままに目を閉じて真直ぐ歩いてみる。右にいったり、左にいったり人それぞれ様々。
いわちゃんはかなり真直ぐ歩けていたかな。
まんまは思いっきり左に曲がっていました。なんでこんなことするかというと利き足ってのがあって、何も目印がないところでは真直ぐ歩いているつもりでも利き足と反対の方向へ曲がってしまう。
まんまは右足が利き足でかなり左右でバランスが悪いようだ。山や砂漠で迷った時に真直ぐ歩いているつもりが大きな円を描いている可能性もある。自分のくせを理解しておくことも大切なことだよね。お腹も空いたことだし、帰って朝ご飯にしよう。
食後は部屋の片付けをして、ホールアース本校へ移動。途中、湧水地の猪之頭に寄り道。栄養豊富な水は緑色、湧水地だけあって水がとても綺麗な青い色をしている。田丸屋さんでお昼ご飯用のニジマスを購入した。田丸屋さんはニジマスの養殖とワサビの栽培をしている。ワサビもおいしそうだなぁ。でも、旬にはちょっと早いようだ。ここにはバーベキュ場があり、ニジマスはそこで焼くことができる。まだ朝だというのに、バーベキュをしにきたお客さんがすでに訪れていた。いいねぇ、ビール片手にニジマスかぁと妄想をいだきながら田丸屋を後にした。
★2日目:講義 「各地の事例発表」 ~日本~ (担当:
アッパー)★
長い、長い前振りが終り、やっと講義が始まる。今日は、デッキで青空教室だ。芝川に流れ込む滝の音がちょっとうるさいのが難点。まずの日本のエコツーリズムの現状を
アッパーが解説してくれた。
環境省では
「エコツーリズム推進会議」が行われている。実は
アッパーは「エコツーリズム推進会議」の委員でもある。「エコツーリズム推進会議」では5つの「エコツーリズム推進方策」をまとめた。
5つのエコツーリズム推進方策
①
エコツーリズム憲章
②
エコツアー総覧
③
エコツーリズム大賞
④
エコツーリズム推進マニュアル
⑤
エコツーリズムモデル事業
①
エコツーリズム憲章
憲章は詩で書かれている。憲章を辞書で調べると「国家や団体が理想として定めた、大切な原則」とある。詩では解り難いというような意見もあったようだが、憲章とはイメージであり、「エコツーリズムの役割」を考えれば詩で現すことにより大切なことが伝わるのではないだろうか。ぜひ、リンクから憲章を読んでみてください。
②
エコツアー総覧
不思議なことに今まで「エコツアー総覧」となるものがなかったようだ。それだけ、限られた人のツアーだったのかもしれない。ツアーの内容だけでなく、交通手段(パークライドや電気自動車など環境配慮した)や宿泊施設も掲載される。まだまだ登録数が少ないようだが、今後の発展を期待したい。
③
エコツーリズム大賞
何かと日本には賞が多い。賞と聞くと血が騒ぐ民族なのだろうか?
④
エコツーリズム推進マニュアル
人や自然を相手に観光事業を行うことは難しく、地域活性のために「エコツーリズム」を導入したいどけ、何をどうしていいのか解らない人達へ最低限の情報を提供しているのがエコツーリズム推進マニュアルだ。しかし、マニュアルは300ページ近くにも及ぶ本格的なものとなっている。
⑤
エコツーリズムモデル事業
エコツーリズムモデル事業を3種類に分類し、募集を募った。
A.典型的エコツアー
そもそもエコツアーは自然が豊かで、自然に特徴がある原生の自然環境で行われていることが多い。日本でいうと屋久島や白神といったところだろう。海外のエコツーリズムは「典型的なエコツアー」が多い。海外では(先進国と思われる)自然と向かい合った生活をしている地域もあるようだ。。
B.従来の観光地「マスツーリズムのエコ化」
多くの人が訪れる地域での取り組みは、環境立国を目指す日本としては、必要不可欠なモデルだと思う。
C.環境保全活動型
これまで海外では「典型的エコツアー」が中心であったため、このモデルは募集してもほとんど応募が無いと思われていた。しかし、蓋を開けてみれば、33地域からの応募があった。日本人は元来、自然と向き合うのではなく、自然の中で自然と共に生活をしてきた。自然感が欧米諸国とは違うのだ。日本の里山文化がここに生きている。その結果として、日本での「エコツーリズム」は海外で一般的な「典型的エコツアー」より、地域と密着した「環境保全活動型」が中心となってくるのではないだろうか。
昔から日本でも「エコツーリズム」とは何ぞやという議論がおこなわれてきたようだ。近年になって、環境省が中心となっての政策がスタートしたばかり。そこには「里山文化」という日本独特の文化が生きている。日本独自の「エコツーリズムシステム」の発展がとても楽しみだ。
★2日目:講義 「各地の事例発表」 ~海外~ (担当:
マサ)★
海外の事例ということで、ハワイの「エコツーリズム」を紹介してくれた。ハワイの「エコツーリズム」も順調に反映してきたとは言えない。今でこそインターネットで広告を出すことも可能だが、以前は旅行会社とタイアップしないと参加者が集まらなかった。旅行会社とタイアップするといくつかの制約が発生する。例えばハワイは噴火で有名だが、夜に流れる溶岩は赤く光りとても綺麗なのだが、このツアーではどうしても帰りが遅くなってしまいホテルで食事をすることが出来なくなってしまう。それではホテルからクレームがつき、ツアーが成り立たなくなってしまう。特に島という地域柄から、地元を無視することはできなようだ。また、どこの国でも同じだと思うが、エコツアーは多くても十数人のでおこなわれ、料金がどうしても高くなってしまう。地元の人が作ったカヌーに乗って移動するスノーケリングツアーは、すぐそばでは1/3のコストで行われているマスツーリズムの影響をうけ、参加者には好評ではあったがスノーケリングツアーは廃止されてしまった。その他にもコスト高のため、廃止されたエコツアーは多くある。コストが高いからといって、ガイドは高い収入を得ている訳ではない。食べていくのに困る人もいて、離婚にまで発展したケースもある。それでも、ガイドはハワイが自然が好きでガイドを続けている。そんな苦労の耐えないガイドではあるが、全てのガイドが優秀というわけではない。保護植物の生息域を案内し、荒らしてしまったり、とガイドのレベルも様々のようだ。ハワイも問題ばかりで「エコツーリズム」に関してネガティブになりそうだが、多くの参加者に感動と笑みを提供している。ハワイは観光地として有名だが(
まんまは行ったことないけどね)多くの人がマスツーリズム域で終ってしまっているようだ。地元の人との交流や、日本のスバル天文台、溶岩流といったハワイの自然、文化に触れている人は限られている。まだまだこれからの「エコツーリズム」。問題があるのは当たり前であり、ポジティブにポジティブに前を見ていく必要があるようだ。
★2日目:昼食 (担当:
ともねぇ)★
昼食は地元で取れた野菜と朝いただいてきたマスを頂く。茹でジャガイモ、とうもろこし、サラダ、トマト、きゅうり、竹の子煮、こんにゃく煮、マスのホイル焼と盛りだくさん。みんなモリモリ食べていました。こんにゃく煮がとてもおいしかった。スーパーで売っている黒いコンニャクってどうしても好きになれなくて。実家で作っているこんやくとホールアースのこんにゃくはとてもGOODなのだ。
ちょっと遅れて、マスのホイル焼が出来あがると、直前まで「エコツーリズム」について熱く議論していたのに、まるでカニを食べている時のようにみんな無口でおいしいマスのホイル焼をほうばった。「これでは「エコツーリズム」がマス(マスツーリズム)に負けてしまっているじゃないか」と言うとみんなはっと思い。う~~ん、と考えマスの食べ残しと腸をニワトリにあげて、「マスのエコ化」をしようとみんなの意見がまとまった。ちゃんちゃん。その場に居なければ、面白くない駄洒落だね。でも、ニワトリにはご馳走だったようで、「マス」を奪い合っていた。「マスのエコ化」がこんなに簡単ならいいんだけどね。こんな落ちで良かったのだろうか?
その後はデザートを頂いた。とうもろこしの茎だ。動物用のエサなんだけど、茎の皮を剥いて茎を噛むと甘いのだ。はじめて食べたけど、昔は子供のおやつでもあったようだ。
メイ(ロバ)が欲しそうに見ていた。ごめんねちょっと
メイのご飯頂いちゃった。
★2日目:ワークショップ (担当:
アッパー)★
ワークショップでは参加者全員で「エコツーリズム」を推進する上での課題を考えた。一人一人が課題のキーワードを紙に書きホワイトボードに張り出した。
まんまが書いたのは「誰(なんの)のためのエコツーリズム?」(地域のため?ガイドのため?自然のため?参加者のため?視点によって期待するもの、課題も違うと思う)、「エコノミー」(現在では経済を無視してエコは成り立たない。どのように経済を結びつけるか)、「マスのエコ化→新たな問題→ゴールはいつ」(どこの世界でも課題はあるとは思うが、成功が見えないと気持ちも沈むのでは?)の3つだ。みんなの考えた課題のキーワードを整理すると「新しい価値の創造」、「地域の関わり方」、「マスとエコの関係」、「資源の保全」、「人材の育成と確保」、「評価の仕組みを作る」に分類できる。ホールチームとアースチームの2チームに分かれ、ホールチームは「マスとエコの関係」、アースチームは「地域の関わり方」に付いての課題の解決方法を議論した。
まんまはアースチームで「地域の関わり方」を議論した。議論したと言っても問題のスケールが大きすぎて、発散してしまった。そもそも、「地域ってなんだ?」これまで、簡単に「地域、地域」と言ってきたが、「地域」を定義するのは難しい。経済的なつながり、地理的なつながり、文化的なつながり、生活のつながりといろいろな視点で定義でき、その範囲はそれぞれ違い、つながりの度合いで地域は狭くも、広くもなる。この複雑な関係の地域において、公平を保つのは難しい。ある地域にいくつかの規模もサービスも違う宿泊施設、複数のお土産屋、経験も実力も専門も違うガイド、その地域に住む観光に関わっていない人々、隣接する地域の人々、想いの違う人々の意見をまとめ、公平を保つのは大変な作業であり、その解決方法は地域の数だけあるだろう。また地域の人々、観光客、ガイド、旅行会社のメリット、デメリットを整理する必要もあるだろう。地域の人といっても風の人と土の人(移り住んだ人と土地で生まれ育った人)によっても考えや想いも違うだろう。もやもやもや。。。どうまとめていいのかわからない状態で時間となってしまった。
「マスのエコ化」を選択したホールチームはお客様のニーズとお客様に対する教育という切り口からまとめていた。原稿を書いている時点で1ヶ月半以上立ってしまって、細かい内容を忘れてしまった。すみません。
最後に
アッパーは「エコツーリズム」には欠かせない資源がありそれは「人」である。「地域」というには「人のつながり」であり「人のつながり」によって文化、生活、経済がつながっていると言っていた。
なんだか、もやもやしてまったくまとまらない結末となってしまった。多くの問題と多くの可能性を秘めた「エコツーリズム」を学び、考えるのには短すぎた2日間だった。しかし、この2日間はなんらかの結論を出す場ではなく、「エコツーリズム」の現状を学び、刺激をうけ、これからいろいろな場所へ行った時の新たな視点、また観光に従事する人は何らかのヒントやモチベーションを得たのではないのだろうか?でも、問題は複雑で大きくて頭抱えそうだね。観光地で生まれ育って、旅行があまり好きでなかった
まんまもちょっといろいろな場所へ行って見たくなった2日間でした。
次回の「選科」は
学校の自然体験型教育旅行プログラムのしくみと留意点です。2004年9月18日(土)~20日(月)
エコツーリズムリンク集
環境省 エコツーリズム
日本エコツーリズム協会
ホールアース自然学校 エコツーリズムへの取り組み
Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光
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