★そのころ他では
そのころ他では仕込みと酒粕剥しが行われていた。仕込みは酒母(「もと麹」(室仕事で作った)、「水」、「掛米」(精米して蒸しただけの米)と酵母を混ぜたもの)に「麹」「水」「掛米」を三段階に分けて仕込んでもろみを作る。麹は米のデンプンを糖分に変える役割を担当し、酵母は糖分をアルコールに変える役割を果たしている。つまり、麹と酵母のどちらが欠けても日本酒はできないのだ。納豆菌は麹菌と相性が悪い。今回の体験も何度か注意された。酒蔵見学や仕込み体験をするときは納豆を食べないようにしましょう。
酒粕剥しはもろみをしぼった後、絞り機に張り付いている酒粕を1枚1枚剥す。酒粕は粕漬け用として箱詰めされ出荷する。この酒粕剥しが大変なのだ。出荷するので、ある程度きれいに剥す必要がある。また、絞り機はいくつもの部屋に分かれており、何十枚もの酒粕を剥すのだ。ここで、しぼりたてのお酒を飲ませてもらった。うまい!!とても濃厚で、いつまでも口の中が酒のうまみで満たされていた。酒のみは蔵人にはなれないと確信した瞬間であった。